だまされたと思って、やってみて

昔、中学2年生のある生徒を教えた時のこと。

その生徒は、真面目でやる気があるけれど、テストの点数に直結する勉強ができていなかった。

私は夏休みから教えることになり、1学期の定期テストの答案を見せてもらった。

得意な数学が60点台だったと思う。

でも本当にやる気がある子で、「こうするとええよ。だまされたと思って」というととりあえずやってみるタイプの生徒だった。

そして、夏休みに頑張って課題テストを受けたのだが、いかんせん返却が遅い。

私の手応えとしては80点は取れたという感じだった。

「早く返してくれー」というむずむずした気分で、私は何週間か過ごした。

結局、76点くらいの点数だったが、本人は喜んでいたようだった。

そして、2学期の中間テスト。

彼は割と楽に80点を取ることができた。

ところで、塾講師や家庭教師をしていると、点数を見る時に必ず知っておかなければならないのが平均点だ。

その時は、たしか50点台だったと思う。

平均点が60点を切るテストで80点を取れたのだから、やはり彼には実力があったのだと思う。

それと同時に、「これがええよ」と言われたものを、実際にやってみることができる、このような「素直さ」というものはけっこう大事な資質だと思う。

年をとっても持ち続けてほしいなあと思う。